2020/09/02
by 栗本 義一
 

いきなり突拍子のない話のように思われるかもしれませんが、ITサービスマネジメント(ITSM)ソリューション「ServiceNow」の応用範囲は実に広く、IT管理・サービスデスクだけでなく様々な業務プロセスの標準化・自動化に寄与します。新型コロナウイルス感染症が世界的な拡大を見せた2020年3月、ServiceNow社はEmergency Response Management(危機管理支援アプリ)、Safe Workplace(在宅勤務支援アプリ)をリリースし、多くの企業がこれを利用して世界的な感染症拡大という危機に対処するための「デジタル化されたワークフロー」を短期間で構築しました。

ServiceNow社自身も、2020年3月に11,000人の従業員を一気に在宅勤務へ移行させました。ナレッジベースやチャットボット、自動化されたプロセスなどServiceNowをフルに活用してこれを支援。ITに関する問題の従業員による自己解決率を61%にまで高めたといいます。このような実績もふまえ、DXCテクノロジーは、ニューノーマル時代においてServiceNowが大きな威力を発揮するものと強く確信しています。

 

ServiceNowはSaaSか、それともPaaSなのか

さて、クラウドサービス(SaaS)であるServiceNowは、PaaSとしての性格も備えていることから上記のようなカスタム開発にも柔軟に対応できます。極端な話ですが、ユーザー企業独自のシステム運用管理手順やサービスデスクのフローを、そのままServiceNowに実装することも不可能ではありません。しかし、SaaSであるServiceNowのメリットを最大限享受するためには、自社の業務フローを「ServiceNow標準モデル」に適応させ、基本機能を活かして導入することが理想です。その理由をいくつかご紹介しましょう。

① ITSMのベストプラクティスに基づく効率的な業務フローを容易に構築できる
② メジャーバージョンアップ(年2回)で提供される最新機能を即座に利用できる
③ 多彩な開発支援ツールが利用可能になり開発スピードを高められる
④ 標準データベーステーブルを利用することでプラットフォーム内でのデータをフル活用できる

ServiceNow標準モデルを詳しく見ると、ムダのない実に洗練されたフローであることがわかります。これを有効活用しない手はありません。カスタマイズは最小限にとどめることをお勧めします。もしカスタマイズを行った場合、その規模や範囲によってバージョンアップの度に改修が必要になることがありますので注意が必要です。ServiceNowがOOTB(Out-of-the-Box)と主張する通り、「箱から出したままの状態」で使っていただくのが理想なのです。

 

ServiceNowの導入、導入後の活用推進を支援

DXCテクノロジーはServiceNowのグローバル戦略パートナーの1社です。ServiceNow導入・活用推進において豊富な実績があり、日本を含むアジアパシフィック地域においてServiceNow社から2020年のRegional Partner Awardを受賞しているほか、お客様からも高い評価(5段階評価の平均で4.6)をいただいています。近年、ServiceNow関連のお引き合いは右肩上がりで増えており、新規導入ばかりでなく、「導入済みのServiceNowを改善したい」というお客様の要望にお応えする機会が増えています。こうしたお客様は、過剰なカスタマイズを行ってしまったケースを含め、ServiceNowとITSMのベストプラクティスを上手に適用できなかった例が多くを占めます。

① ServiceNowを新規導入されるお客様へ

たとえば、ServiceNowでは、資産管理、ワークフロー管理、インシデント管理など、一般に個別のシステムで行われる業務を統合し、これらを一貫させる自動化プロセスを構築できます。これを実現するために、ヒト・モノ・プロセスの情報を「単一のデータベース」で統合的に管理します。ServiceNowを初めて検討されるお客様は、ぜひこの「統合的な情報管理」の重要性をご理解いただきたいと思っています。DXCでは、机上での評価が難しい場合でも、アジャイルの手法で早期にプロトタイプを作成し、実際に効果を体感していただくような手順をお勧めしています。

② ServiceNowを導入済みのお客様へ

ServiceNowのPaaS機能を利用して過剰にカスタマイズを行ってしまったお客様が、5年6年とお使いになる中で様々な問題に直面しています。メジャーバージョンアップへの対応が困難になってしまったケースが典型的ですが、属人化したプロセスが残っていたり、改善したはずの業務フローで期待したほどの成果が出ていないといった問題も少なくありません。ServiceNowに本来の力を発揮させるためには、利用状況やパフォーマンスを可視化するアプローチが有効です。

DXCでは、お客様ごとの目標や課題解決にそれぞれ最適なアプローチを提案します。「Quality Clouds」を用いた分析・評価サービスを独自のサービスとして提供しており、ServiceNow上の様々な課題やボトルネックを一目瞭然にする機能がご好評いただいています。ぜひご相談ください。

最後に、日本で上記の分析・評価サービスをご利用いただいたお客様のご評価のコメントをご紹介させていただきます。

“DXCのQuality Cloudsを活用した支援により、ServiceNowの「過度なカスタマイズ」から「OOTB(Out-of-the-Box)」へ短期間で移行を実現し、享受されるべき本来のクラウドアプリケーションのバリューとメリットを取り戻せました”

加納伸彦氏 トヨタ自動車株式会社 ITマネジメント部主査

About the author

栗本 義一 (Yoshikazu Kurimoto)
DXCテクノロジー・ジャパン エンタープライズ&クラウド・アプリケーション ServiceNowソリューションアドバイザー。2002年日本ヒューレット・パッカード入社、ITサービス管理のソリューションコンサルタントとして多くの企業においてアセスメント、プロセス設計、ツール導入などを実施。2015年よりServiceNow専任のソリューションアドバイザーとて業界問わず幅広い業種のお客様においてITサービス管理のモダナイゼーションを支援している。

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